はじめに
契約書の内容によっては、印紙税という税金がかかることがあります。印紙税とは、税額相当の印紙を購入して文書に貼り付けるという方法で支払う税金のことです。
印紙の要否
印紙が必要になる契約書は、以下のとおりです。
- 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機、または営業の譲渡に関する契約書
- 地上権または土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書
- 消費貸借に関する契約書
- 運送に関する契約書
- 請負に関する契約書
- 合併契約書、吸収分割契約書
- 継続的取引の基本となる契約書
- 信託行為に関する契約書
- 債務の保証に関する契約書
- 金銭・有価証券の寄託に関する契約書
- 債権譲渡・債務引受に関する契約書
しかし、これらの契約書であっても印紙が不要な場合もあります。上の①〜⑤と⑪は、契約書に記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となり、印紙は不要です。また、⑨のうち身元保証に関する契約書は非課税となっています。
さらに、国・地方公共団体や特定の団体(日本学生支援機構や企業年金基金など)、特定の個人(母子及び父子並びに寡婦福祉法により資金の貸付を受ける者など)が作成する特定の契約書については非課税となるものがあります。
このへんは細かい規定によって定められているため、契約書を作成する前に税務署に問い合わせて確認するとよいでしょう。
また、印紙税が必要になるのは紙の契約書です。PDFなど、電磁的記録によって作られた契約書には課税されませんので、印紙は不要です。
印紙を貼るのは誰?
契約書など印紙税の課税対象の文書に印紙を貼らなければならないのは、その作成者です。2人以上の人が共同で文書を作成した場合は、全員が連帯して印紙税を支払、印紙を貼らなければなりません。
必要な印紙の額は?
印紙の額は契約書の種類毎に定められています。上の①〜⑤では契約金額が大きくなると印紙税額も大きくなり、一通あたり200円〜60万円の印紙税がかかります。
一方、その他契約書の印紙税は定額で、⑥は一通あたり4万円、⑦は一通あたり4千円、⑧⑨⑩⑪は一通あたり200円となっています。
どこで手に入る?
印紙は、法務局や郵便局、郵便切手類の販売所(コンビニもこれに含まれます)で購入することができます。ただし、コンビニでは高額の印紙は置いていないことがほとんどですので、必要な額によっては郵便局・法務局で購入するようにしてください。
印紙を貼らなかった場合のペナルティ
印紙が必要な契約書に印紙を貼っていないと、支払うべき印紙税額の3倍の過怠税を徴収されることになります。ただし、印紙税の調査が入る前に、自分で脱税に気がついて申し出た場合は、支払うべき印紙税額の1.1倍の過怠税の徴収で済みます。印紙の貼り忘れに気がついた場合はできるだけ早く税務署に申し出ましょう。
なお、過怠税の合計額が1000円未満の場合は、それがいくらであっても1000円の過怠税が徴収されることになります。