1 はじめに
「この書類を内容証明で送る」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
重要な書類を送るときによく使われる「内容証明郵便」ですが、これは具体的にはどのようなものなのでしょうか。
この記事では、内容証明郵便の概要と使い方について説明します。
2 内容証明とは
内容証明郵便とは、郵便の出し方の一種です。
普通の郵便と違うのは、
「誰が(差出人)、誰に宛てて(受取人)、○○と記載された郵便(郵便の内容)を送ったのか」
を郵便局が証明してくれるという点です。
こうしたことを郵便局が証明してくれると、のちのち法的問題が生じたときに有利な証拠として使うことができるのです。
例えば、あなたが友人に貸したお金を返してもらうために、相手に「お金を返してください」と書いた手紙を送るとします。これは催告の意思表示にあたるので、消滅時効が一時的に中断する効果がある手紙です。
この手紙を内容証明で送ると、謄本(証明印が捺された控え)が手元に残ります。また、郵便局側にも同じ謄本が5年間保管されます。
そのため、後から相手が「借りた時から10年経ったから、消滅時効で借金はチャラだ!」と言い出しても、この謄本で催告の意思表示をしたことを証明できます。時効の中断、つまり借金はまだチャラになっていないことを証明できるのです。
※正確には、催告によって完全に時効を中断できるのではありません。完全に中断するには、催告後の決められた期間内に、裁判上の請求などの手続が必要です。
しかし、内容証明のない普通の郵便で送っていたとすると、こうした内容の手紙を送ったことを証明できません。相手がその手紙を持っていたとしても、自分に不利になる証拠をわざわざ出してくるはずもありません。
権利に関わる重要な郵便物は内容証明で送るのが賢明です。できれば配達証明のオプションもつけておくと、尚良いでしょう。
3 内容証明の出し方
内容証明郵便を出すには、郵便局の窓口へ行く必要があります。
注意しなければならないのは、集配郵便局及び支社が指定した郵便局でしか出す事ができないということです。
行こうとしている郵便局で出せるのか、事前に確認しましょう。
用意すべきものは次の4つ。
①内容証明郵便で送りたい郵便物
②①の複写2通
③差出人と受取人の住所・氏名を書いた封筒
④郵便料金
内容証明郵便は、必ず一般書留にしなければなりません。
そのため、
④の郵便料金=基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金(謄本の枚数が1枚であれば430円、2枚目以上の場合は1枚につき260円追加)
と計算されます。
さらに配達証明をつける場合は、加算料金310円がかかります。
4 注意点
○対象
まず、内容証明の対象となるためには、1通の文書という形式にしておく必要があります。図面や有価証券を同封することはできません。
○使える文字
文書は、以下の文字・記号によって書かれていなければなりません。
・ 仮名
・ 漢字
・ 数字
・ 英字(固有名詞に限る)
・ 括弧
・ 句読点
・ その他一般に記号として使用されるもの
○ 字数などの制限
謄本の字数・行数は以下のとおり制限されています。
・ 縦書き 1行20字以内、1枚26行以内
・ 横書き 以下のいずれか。
1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内
5 さいごに
内容証明郵便を出したからといって、それだけで安心してはいけません。
謄本をきちんと保管するなど、証拠を残すために十分な注意を払いましょう。
また、郵便局に謄本の閲覧を請求できるのには、内容証明郵便を送ってから5年間という期限が設けられています。
手数料はそこそこ高い内容証明郵便ですが、上手く使って自分の権利を守りたいものです。