新東京行政書士事務所Blog

スタートアップの強い味方、J-KISS(投資契約書/出資契約書)

1 はじめに

“J-KISS”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これは最近、スタートアップ界隈で話題になっている投資契約書のひな形です。

法律用語で書かれた契約書なので全てを理解しようとするのはとても難しいのですが、今回の記事ではこのJ-KISSの概要をできるだけ簡単に説明します。

 

2 J-KISSはどんな契約書?

J-KISSは一言でいうと、スタートアップを立ち上げたばかりの時期に使用する資金調達のための投資契約書ひな形です。

 

スタートアップ創設時の資金調達は、一般的に困難を伴います。

そもそも創設時の段階では、事業がどの程度上手くいくかが全くわからないので、投資家としても幾ら投資できるか判断するのが難しいのです。また、資金調達についての知識の乏しい事業家が、悪条件の投資契約を飲んでしまうこともあります。

 

こうした問題を解決し、スタートアップ創設段階にできるだけ安くシンプルに、かつ透明性をもって資金調達することを可能にするのがJ-KISSという契約書ひな形です。

創設段階での資金調達を簡便にするための契約書なので、一定の金額(これは当事者で設定します)の資金調達が行われることが決定した場合は、J-KISSは自動的に他の投資契約に転換されて消えるという設計になっています。

 

もともと、アメリカのシリコンバレーで誕生した幾多のスタートアップの経験を元に作成されたKISS(Keep It Simple Security)という英語のひな形がありました。

これを日本語に翻訳し、弁護士の先生によって日本の法規制に合わせる形で書き換えられたのが日本版J-KISSです。会計事務所から税務面のレビューもされています。

 

3 J-KISSは無料で使える!

実はこのJ-KISS、インターネット上に公開されています。ダウンロードして無料で使うことができるのです。本家の英語版もあります。

 

500 Startups Japan

J-KISS: 誰もが自由に使える、シード資金調達のための投資契約書

https://500startups.jp/j-kiss/

 

ダウンロードしたひな形の空欄に当事者名や日付、金額などの必要事項を書き込むだけで、そのまま使える投資契約書を完成させることができます。

 

4 J-KISSの主な内容

J-KISSの主な内容をご説明します。

■対象となる権利:新株予約権 

■最恵待遇条項:シード、アーリーといった非常にリスクの高いステージでの投資及び投資家を想定しているため後続ラウンドで設定される条件に比して不利にならないよう、その後続ラウンドの条件を自らにも適用することを求めることができる

■優先引受権:後続ラウンドが行われることにより自らの持ち分比率が低下しないよう後続ラウンドに参加することを求めることができる

■適格資金調達時:後続ラウンドで資金調達する場合にも希釈化が起こらないよう行使価格の調整が行われる

■買収時:バリュエーションが増加していない状況で早期のバイアウトなどが生じた場合には新株予約権の引受額の2倍で買取りを担保している

 

5 さいごに

シード、アーリーといったステージではVC等から経営に口出しされることを嫌うベンチャー、スタートアップも多いかと思います。

その点、J-KISSは新株予約権という議決権のない権利で資金を調達でき、投資家間の調整も簡略化できるのでスピードも兼ね合わせておりニーズに合うのではないでしょうか。

家庭用ロボット開発会社やブロックチェーンベンチャーなどJ-KISSを使った投資実績もいくつか出てきているようですので、選択肢の一つに加えても良いかと思います。

 

 

 

2018/10/06 法務  
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