新東京行政書士事務所Blog

【監査とは】必要な時期からその種類まで網羅解説

「監査」というと、一般的には会計監査のことを指します。
経理担当者でなければ、実際の実務については詳しくない方が多いのではないでしょうか。本稿では監査の種類や必要な会社から、実際に行なう業務のフロー等について解説いたします。

会計監査とは

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企業は基本的に利益を目的として活動を行っています。企業が活動を行うためには、多額の資金が必要です。そこで、企業は株式を発行したり、社債を発行することによって、投資家から多額の資金を調達します。金融機関からお金を借りることもあるかもしれません。

資金提供者からお金を提供してもらった企業は、資金提供者に対して、どのようにお金を使ったのかを説明する義務が生じます。これは一般にアカウンタビリティ(説明責任)と呼ばれています。

企業が資金提供者に対してアカウンタビリティを果たすために、会社の財務情報を公開します。経営者は正しい情報をきちんと説明する責任がありますが、その情報が正しい情報なのかどうかは、資金提供者にはわかりません。そこで必要となるのが、会計監査です。

会計監査では、公開された財務情報が適正か不適正かを公認会計士が判断することになります。
簡単に言えば、会計監査とは、会社の財務情報が正しいものかどうかをチェックするものということができます。金融商品取引法では、全ての上場会社は公認会計士及び監査法人による会計監査を義務付けています

会計監査の種類について

会計監査は、①公認会計士および監査法人によって実施されるケースと、②企業内部の監査人が監査を実施するケースがあります。
①の場合、企業と利害関係がない第三者として公認会計士および監査法人が会社の財務情報が適正か不適正かを判断することになります。企業外部の人が監査を行うので、この監査は外部監査と呼ばれることがあります。企業の外部者として公認会計士および監査法人がきちんと監査を実施して、会計監査の専門家として適正であるか不適正であるかの意見を表明することになるので、信頼性が非常に高くなります。

一方で、②の場合は、会社の内部の人が監査を行います。そのため、この監査は内部監査と呼ばれます。企業の内部の人が自分の会社について監査を行うことになるので、外部監査よりは信頼度は低くなります。しかしながら、会社内部で監査がきちんと行われているからこそ、外部監査を実施できます。会社の内部にいる監査人は会社の内部事情などにも通じていることが多いので、公認会計士や監査法人が入手できないような情報も入手できる可能性があります。

会計監査ではどんなことを行なうのか

会社のお金の動きは非常に複雑です。そのため、会計監査は計画的に実施されます。監査に費やすことのできるコストや時間は限られているので、効率的に監査は実施されなければなりません。そのため、会計監査では主に以下の順で会計監査が実施されます。

①予備調査
会社から監査法人に会計監査の依頼が来ると、監査法人は公認会計士としての責任が果たせるかどうかのチェックを行います。これは予備調査として行われるもので、会社が監査に協力する体制が整っているか、正しい財務情報を提出できるだけのシステム(内部統制システム)が会社内にあるかどうかなどをチェックします。

②監査計画の立案
予備調査の結果にもとづきながら、会計監査人は監査計画を立案します。大きい企業になればなるほど、一つ一つの取引を全てチェックすることはできません。そのため、重点的に監査するところと重点的に監査しないところを分けるなど、これから監査をするための計画を立てていきます。

③監査手続の開始
監査計画に則って、会計監査が開始されます。会計監査は通常複数の公認会計士と補助者によって行われることになります。大きな会社ともなれば、100人以上で会計監査を実施する場合もあります。様々な方法を使って会計監査を行うことで、監査意見を表明するために必要となる監査証拠を積み上げていくことになります。

④監査意見の形成
監査手続を行って監査証拠が集まったら、その情報にもとづいて監査人は監査意見を形成します。監査意見では、必要な情報をきちんと集めることができたか、不適切な部分はなかったかなどを勘案して判断し、監査報告書の提出に向けてどのような監査意見を表明するかを考えていきます。

⑤審査
監査はそれぞれの監査人によって実施されます。そのため、それぞれの監査人が監査手続を実施します。監査人も人間なので間違っていることがあるかもしれません。そのため、当該監査に携わっていない別の監査人が客観的な視点で監査手続のチェックを行います。上場企業を監査する事務所には必ず審査担当を置くことを日本公認会計士協会は義務付けています。これによって、監査報告書の信頼性を高めているのです。

⑥監査報告書の提出
全ての監査手続にもとづいて、必要十分と認められるだけの監査証拠を入手した場合には、監査人は監査報告書で意見の表明を行います。
会社の財務情報が適正に表示されていると判断される場合には、無限定適正意見を表明し、一部問題はあるものの、おおよそ適正な場合には限定付適正意見が表明されます。十分な監査証拠を入手できなかった場合には、監査報告書で意見を表明しない場合もあります。

会計監査はいつ必要になるか

上場している会社は、投資家が適正な投資判断ができるように、きちんと財務報告をしなければなりません。株式会社では株主総会が実施されますが、株主総会では会社の財務状況と経営成績が報告されることになります。このとき、株主総会で報告される財務諸表が適正かどうかのチェックを受けていなければなりません。つまり、株主総会までにきちんと会計監査を受けておく必要があることになります。

会計監査では複雑な会社の取引をチェックすることになりますから、当然監査証拠を揃えるまでには膨大な時間が必要となります。そのため、およそ株主総会が開始される1年前から継続して監査手続が行われ、株主総会に間に合うように監査を受ける必要があります。上場している会社は、証券取引所のきまりできちんと財務報告をしなければならないことになっており、財務報告ができない場合には、上場廃止となることもあります。

会計監査が必要な会社とは

上記でも少し触れていますが、会計監査必要となる会社について整理します。
監査を受けなければならない会社は、大きく分けて以下の3つです。

・ 大会社(最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上である会社、または、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である会社。)

・ 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社

・ 会計監査人の任意設置を行った会社(会計監査人を置くことを定款で定めた会社)

一般的な株式会社で、定款に特に会計監査人を置くことを定めていない場合であれば、意外なことにほとんどの場合は監査を義務づけられないのです。
とはいえ、将来的に上場を考えているならば、会社設立段階から会計監査人を置いて監査を受けておくのが吉です。というのも、上場するには信頼性の高い決算書類(を含む計算書類)を作成できることが大前提となっているからです。

会計監査を受けなかった場合

監査が義務付けられているのに会計監査人を置かなかった場合は、取締役等に100万円以下の過料が課されます。
この金額が一般的な監査費用と比較しても低いため、法律に反して監査を受けていない会社も見られます。
しかし、法に反すると社会的な信用を傷つけ、長期的に見て大きなマイナスを生じてしまうことになるため、義務づけられている場合は必ず監査を受けるようにしましょう。

最後に

「自分の会社はまだ小さいから、監査を受けなくても大丈夫」と安心した方もいるかもしれません。
監査は確かに安くない費用がかかるものの、上述のとおり上場への準備になりますし、取引先や株主から信頼を得ることにも繋がります。会社は信用が第一です。日産のように信用をなくすような開示書類を作成すると監査費用と比べ物にならない損失を被ることになります。この記事をきっかけに、今一度、考えてみてはいかがでしょうか。

2018/11/22 会計   auter_1
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