新東京行政書士事務所Blog

事業承継税制とは?メリットや利用要件を分かりやすく解説!

事業承継税制とは?事業承継税制のメリットをご紹介!

まず初めに、事業承継税制の意味やメリットをご紹介します。

事業承継税制とは、中小企業の後継者が相続または贈与により自社株を取得する際、相続税や贈与税の納税を猶予もしくは免除する制度です。

事業承継で自社株式を相続する際、会社の規模が大きいほど莫大な相続税や贈与税が発生し、後継者に多大な負担がかかります。

何も対策しなければ、重い税負担を理由に事業承継を諦めざるを得なくなります。

下記中小企業庁のホームページに掲載されている「事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度 」の例(P1)によると自社株式(7億相当)を相続した後継者Aは納税猶予の適用を受けない場合、約2.8億もの相続税が課される可能性があることを示しています。

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【参考】中小企業庁ホームページ

しかし、事業承継税制を活用すれば、贈与税または相続税の納税を100%猶予してもらえます。

つまり、事業承継税制には、税の負担を大幅に軽減した上で会社を引き継げるメリットがあります。

従来は要件が厳しかったり、納税猶予となる税額が少ないなど、中小企業にとってあまり使い勝手の良い制度ではありませんでした。

しかし平成30年度の税制改正により、要件緩和や全額納税猶予への変更が行われたことで、使い勝手の良い制度となりました。

経営者の高齢化を理由に、昨今多くの中小企業では事業承継の必要性に迫られています。

会社を継ぐ際の税負担を軽減できる事業承継税制は、昨今の中小企業にとってメリットの大きい制度となっています。

 

事業承継税制の利用要件

 

事業承継税制を利用するためには、大きく分けて下記3つの要件を満たす必要があります。

事業承継税制の利用要件は非常に細かく煩雑なので、今回は特に重要な部分をピックアップしてご紹介します。

 

先代経営者・後継者の要件

先代経営者・後継者の要件とは、文字通り会社を継がせる側と継ぐ側が満たすべき要件になります。

相続税の場合と贈与税の場合で若干違いがあります。

  相続税 贈与税
経営者

・会社の代表者であったこと

・相続/贈与の直前に現経営者及びその親族等で議決権の過半数を有し、かつ、筆頭株主がいること

・会社の代表者であったこと

・相続/贈与の直前に現経営者及びその親族等で議決権の過半数を有し、かつ、筆頭株主がいること

・贈与時に代表者を退任していること

後継者

・相続/贈与時に後継者とその親族等で議決権の過半数を有し、かつ、筆頭株主がいること

・相続開始直前に役員で、相続開始から5か月後に代表者であること

・相続/贈与時に後継者とその親族等で議決権の過半数を有し、かつ、筆頭株主がいること

・贈与時に20歳以上、贈与直前に3年以上役員で、かつ、代表者であること

 

会社の要件

事業承継税制を活用するためには、会社自体としても一定の要件を満たす必要があります。

①中小企業であること

業種 資本金 または従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
製造業のうちゴム製品製造業 3億円以下 900人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
サービス業のうちソフトウェア業等 3億円以下 300人以下
サービス業のうち旅館業 5,000円以下 200人以下

②上場会社、風俗営業会社でないこと

③従業員が1人いじょうであること

④資産保有型会社等に該当しないこと

 

その他の要件

上記以外にも、後継者が会社を受け継いだ後5年間は代表者であり続けて、かつ5年平均で8割の雇用を維持することが要件とされています。

ただし平成30年度の税制改正により、8割の雇用維持を満たせなくても、事情を書面にて説明すれば引き続き事業承継税制を利用できるようになりました。

また事業承継税制の適用後、会社を引き継いだ後継者が亡くなった時点で、猶予していた納税が免除されます。

つまり、事業承継後も会社を経営し続ければ、最後まで納税せずに済みます。

 

まとめ

会社を引き継ぐ上で負担となる相続税や贈与税を免除できる点で、事業承継税制は中小企業に大きなメリットをもたらす制度です。

メリットの大きい制度ですが、事業承継税制を活用するためには、先代経営者や会社に関する要件を満たす必要があります。

今回ご紹介した要件は一部であり、実際に制度を活用する際は煩雑な要件をクリアしなくてはいけません。

また、よりメリットのある特例制度は時限措置であり、2023年(平成35年)3月末まで特例承継計画を都道府県庁に提出し、確認を受ける必要があります。

事業承継には親族への承継のほか役員従業員への承継、M&Aによる社外への承継も総合的に検討し最終的な意思決定するする必要があり、検討にはかなりの時間を要します。

納得のいく承継を実現するため、お早めに検討に着手されることをお勧めします。

 

2019/02/07 会計   auter_1
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