独占禁止法は大企業の独占を取り締まるための法律だから、中小企業やベンチャーには関係ないはず、と思われている経営者の方はおられないでしょうか。
独占禁止法は、公正取引委員会により執行される法律ですが、近年では中小企業も摘発されている事例も見受けられます。
事業活動を行う全ての会社が知っておくべき法律と言えるでしょう。
この記事では、知らずに独占禁止法違反をおかしてしまい、長年築き上げた企業の信用力を失ってしまわないように、知っておきたい独占禁止法の概要についてご説明します。
1. 独占禁止法で規制される行為とは?
独占禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。
独占禁止法で禁止される行為は、大きく3つに分かれます。(1)独占に対する規制、(2)不当な取引制限に対する規制、(3)不公正な取引方法に対する規制の3つです。
独占禁止法違反であるこの3つの規制が企業によってきちんと守られているのかを監視しているのが、内閣府の経済産業省の外郭である公正取引委員会といわれる組織です。
公取委とも略される行政独立委員会で、全国に事務所が設置されています。
2. 独占禁止法違反に気をつけなければならない理由は?
独占禁止法は企業の不公正な競争によって、消費者に不利益が生じることを避けるために制定された経済法です。
違反による世間へのインパクトが大きいため、罰則も厳しいものがあります。
具体的には、独占禁止法違反に手を染めた担当者と企業どちらも罰せられるという両罰規定、課徴金、違反事実の公表といった罰則があります。
課徴金の金額も大きいですが、法律違反の企業として公表されることにより、コンプライアンスイメージが大きく下がり、消費者離れや企業価値がさがるという風評被害が大きなリスクです。
3. こんな行為も独占禁止法違反に!気をつけたい行為例
3.1 協業他社同士の合併
ライバルだった業界1位と2位の企業が競い合いをやめて、相乗効果を期待するために企合併等によって結合をすることがあります。
シナジー効果が期待できる反面、合併後の企業が力を持ちすぎることで、市場の自由な競争が阻害される場合があり、公正取引委員会に適正と認められる態様としなければなりません。
3.2 競争他社同士の談合
業界の横のつながりで、価格などを相談して揃える行為は、カルテルとして独占禁止法違反になる可能性があります。抜け駆けしての安売りができなくなるので、価格が硬直し、消費者に不利益になるためです。
3.3 不当な取引拒絶等
競合他社が共同して特定の取引先との取引を拒絶したり、正当な理由なく取引を拒絶するボイコット行為も、独占禁止法違反になる可能性があります。
3.4 その他
ダンピング、優越的地位の濫用、再販売価格維持など、競争を不当に制限する様々な行為が規制されています。
4. 最後に
いかがでしたでしょうか。
独占禁止法は中小企業やベンチャーにとっても重要な法律です。
大手企業が気づかずに独占禁止法に反する取引を行っている場合もあります。
独占禁止法の知識があれば対抗することも可能となる場合もありますので、これを機に研究されてはいかがでしょうか。