資本政策とは
一般的に資本政策とは、株主構成の適正化を図りつつ、事業に要する資金の調達を実現するための諸施策を意味します。
資金調達のために株式を第三者に発行しすぎると、経営陣の持ち株比率が低下し、エグジット時に得られる利益が低下したり、経営に対する決定権が低下してしまいます。
かといって持ち株比率の維持を重視し過ぎると、事業に必要な資金を十分に調達できない可能性があります。
資本政策では、株主構成(持ち株比率)と資金調達のバランスを図るために、行うべき施策を計画するのです。
資本政策の検討事項
一般的に資本政策では、以下の検討事項を考えます。
上場時期も含めた事業計画
最優先事項として、上場予定のタイミングまでの事業計画を策定します。
ベンチャーキャピタルや事業会社など外部の資本家(VCなど)から資金調達する際には、事業計画で定められた利益額や売上額に基づいて、株価(企業価値)を算定します。
資金調達の金額や条件は企業価値に基づいて決定されるため、事業計画はとても重要な検討事項となります。
適切な株主構成
株式会社では、持ち株数に応じて行使できる権限が決定されます。
あまりにも経営陣の持ち株比率が低いと、経営陣が満足に意思決定を行えなくなる恐れがあるため、一定の持ち株比率を維持できるようにする必要があります。
株式移動に関する税務上の仕組みを認識する
資本政策では株式の移動が発生します。株式移動のタイミングや方法次第では、課税が生じるケースもあります。
資本政策では、どんなタイミングで課税が発生するのか、どうやったら課税額を減らせるのかなども考えておく必要があります。
資本政策の方法
資本政策を具体的に実施する際は、主に下記3つの方法を使用します。
方法①:株式移動(売買・贈与)
株式移動とは、ある両者間で株式を売買または贈与する方法です。
この方法では、両者間の持ち株比率が変動します。
適正価格で株式を移動させないと、多額の税負担が生じる恐れがあるので注意が必要です。
方法②:第三者割当増資
第三者割当増資とは、特定の相手に対して新株を交付する形で行う資本政策の方法です。
VCなどからの資金調達で用いられることの多い手法で、経営陣の持ち株比率の低下に注意が必要です。
方法③:ストックオプション
ストックオプションとは、予め定められた価格で株式を取得できる権利です。
主に従業員や役員のインセンティブ設計で用いられる方法です。
ストックオプションには有償と無償があり、それぞれ税務上の取り扱いが異なるので注意しましょう。
まとめ
今回は資本政策の初歩について解説しました。
資本政策は一度、間違った対応を行うと事後的に修正するのは非常に困難です。
自分の会社だと思っていたのにいつの間にか他人のものになっていたということもあり得ます。
正しい知識で十分に検討する必要がありますのでご注意ください。