新東京行政書士事務所Blog

内部統制のツールである3点セットの作成方法の流れを解説

1.3点セットの概要

IPOを目指す企業には「全社的統制」のほか「業務プロセスに係る統制」が求められます。

その業務プロセスが統制されているかを洗い出し、コントロールしていくためのツールがいわゆる3点セットといわれるものです。

3点セットには、具体的に以下の3つが該当します。

  • ・フローチャート:業務プロセスを図により可視化したもの
  • ・業務記述書:業務プロセスの内容を文章でまとめたもの
  • ・リスクコントロールマトリックス:業務に伴うリスクとリスクに対応するコントロールを対比構造で表にしたもの

 

3点セットを有効活用することで、内部体制の実態を把握し、より良い内部体制を実施できるようになります。

2.3点セットの作成方法

内部統制における3点セットは、一般的に以下の順番で作成していきます。

①:フローチャートと業務記述書の下書きを作成

まず初めに、作業マニュアルなどの資料を参考にしながら、フローチャートと業務記述書の下書きを作成します。

業務記述書の下書き作成から始めれば、文章で業務プロセスをまとめることができます。

文章であらかじめ業務プロセスをまとめておけば、フローチャートを作成しやすくなります。

②:①で作成した下書きを基に、リスクとコントロールを定義する

次に業務記述書とフローチャートの下書きを基に、現場部門と協議を進めながら、リスクとそれに対応するための統制を定義します。

リスクとは具体的に、「取引が実在しないリスク」や「取引がすべて記録されていないリスク」、「資産や負債の金額が適正でないリスク」などが考えられます。

こうしたリスクを軽減させるために行う施策(自動仕訳システムの導入など)を、コントロールとして定義します。

③:②の過程で気づいた修正点を整理する

②の過程を進める上で、経営陣と現場部門の認識に相違が見つかる可能性があります。

見つけた相違は無視せずに、3点セットを完成させるために記録・整理しておく必要があります。

④:修正点を基に3点セットを完成させる

最後に現場部門との協議で見つけた修正点を基に、3点セットを完成させていきます。

3点セットを完成させる際には、各ツールに整合性が取れているのかに注意を払いつつ進めていきましょう。

内部統制の3点セットを作成する方法は以上になります。

3.まとめ

IPOを目指すか否かにかかわらず、内部統制の不備を減らす上で、3点セットの作成はとても効果的です。

そのため、すべての企業が整備することを視野に入れても良いと思います。

但し、3点セットもあくまで事業遂行上の不正や誤りを防止するためのツールにすぎません。

やりすぎて費用対効果に見合わないことになれば本末転倒となります。

業務を洗い出し不正や誤りが生じるプロセスがないかをコントロールするという内部統制の考え方を踏まえてバランスよく管理できるようにすることが重要です。

 

2019/05/01 その他   auter_1
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