M&Aも最近は、かなり一般的な経営手法になってきました。
2019年も終わり、今後の調査によって実施件数が明らかになってくるでしょう。
ところで、M&Aを行う際の価格の決定については、実務上、経営者同士で「エイヤッ」で決めてしまった後に、DCFなどのテクニカルな算定方式を使ってつじつまを合わせるようなケースが多いのではないかと思います。
これ自体は否定はしませんが、仮に時価純資産と大幅に乖離するプレミアムが上乗せさせれているような場合は注意が必要です。
合併仕訳を行う際には、純資産と買収価格の差額はのれん代として資産計上する必要があります。
これは一定の期間を通して減価償却してくことになります。
減価償却の期間は最大20年の間に合理的に決めた期間で費用計上していくことになりますので、その分、営業利益を圧迫します。
買収した事業が自社事業について20年も寄与することは想定していないと思いますので、期間もその分短くなり費用も多くなってくることに注意が必要です。
多額のキャッシュを払って買収した事業がもともとの事業の利益を食いつぶしてしまうようなことがあっては目も当てられません。
買収額については、とかく算定方式のほうに注意が持っていかれがちですが、のれん代を回収できるかという事業収支の観点も合わせてしっかりと検討する必要があります。