東京都及び(公財)東京都中小企業振興公社より「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」期間中のTDM(交通需要マネジメント)実施に伴う中小企業者向け助成金の新規募集公表されましたのでご案内します。
助成金の概要
①目的:
大会期間中のTDM(交通需要マネジメント)の実施に伴い、中小企業が滞りなく事業を継続するための取組を支援
②対象者:
都内の中小企業
③助成対象:
・東京2020大会期間中のTDMに対応するため、都内中小企業者が物流対策に取り組む際に必要な経費
・専門家費用(各企業が行うTDM関連の調査・コンサル費用、BCP(事業継続計画)更新に必要な費用)
・システム導入・改修等経費(物流・車両管理システム等)
④助成対象期間:
令和2年3月2日(月曜日)~令和2年9月30日(水曜日)(7か月)
⑤支援内容:
・助成限度額100万円(システム導入・改修の場合500万円)
・助成率2分の1以内
⑥申請期間:
令和2年1月10日(金曜日)~令和2年1月31日(金曜日)
申請詳細は東京都中小企業振興公社ホームページをご覧ください。
TDMとは
TDM(Transportation Demand Management)について簡単に説明します。
TDMとは、自動車の効率的利用や公共交通への利用転換など、交通行動の変更を促して、発生交通量の抑制や集中の平準化など、「交通需要の調整」を行うことにより、道路交通混雑を緩和していく取組みをいいます。(東京都環境局)
今夏、東京2020オリンピックパラリンピックが開催され、国内外より多くの旅行者が東京に来訪し、同大会の開催期間中、多くの人口集中することが予想されています。
特に何も対策を取らない場合、各鉄道、高速道路等の交通機関に多くの障害が生じることが懸念されており、それを回避するため、東京都により2020TDM推進プロジェクトが進められています。
同プロジェクトでは参加企業に以下のようなメリットを提供しています。
・大会時の混雑予測情報など、大会情報をいち早く提供します
・企業説明会のご案内を行います
・HPで協力者名・企業名を公表し、HPとリンクすることもできます
・「2020 アクションプラン」策定のための個別コンサルティングを無料で利用することができます
企業向け説明会も順次開催していますので、まずはこちらから参加してはいかがでしょうか。
取り組み事例
同プロジェクトに参加すると各企業で行っている対策事例なども情報共有してもらえますので、自社の施策に参考になると思います。
以下、紹介されている事例を簡単にご案内します。
◼ 卸への到着日時の弾力化
ex) 加工食品全体で卸への配送時間を変更
⇒ リードタイム延長により、計画的・効率的な配送。同温度帯の配送について、他企業を含め共同配送による効率化。
◼ ラインナップの工夫
ex) 期間中は主力商品に絞る。その他の商品は前倒しで納入等
⇒ 主力商品に絞ることで、配送車両台数や配送回数を削減。結果的に品切れを防げる可能性。
◼ 検品作業の簡素化
ex) 積載時検品との重複項目削減の徹底、システム活用等
⇒ 検品に伴うドライバーの届け先滞在時間が減少。時間が読めるようになれば、計画的な配送で車両数削減の可能性。
◼ 新商品の発売時期の工夫
ex) 混雑の影響を受けやすい期間中を避け、発売時期を前倒し/後倒し
⇒ 期間中は、混雑による配送への影響が懸念され、大々的なプロモーションを仕掛けることが難しい可能性。
◼ 訪日外国人向けの商品(免税品)の空港直送、ネット販売の拡大
ex) 直送により、店舗への配送・店舗からの持ち帰りを削減
⇒ 販売側だけでなく、顧客側にとっても持ち帰らなくてよいメリット。売り上げを落とさず、配送量を削減。
◼ ストックの拡大
ex) 期間中の配送は主力商品に絞り、その他の商品は前倒しで納入等
⇒ 事前にストックしておき、品切れを防止。期間中の配送は主力商品に絞ることで、配送車両台数や配送回数を削減。
◼ 夏のセール時期の前倒し
ex) 混雑の影響を受けない期間前にセールを実施し、売上量への影響回避。
大会前後にまとめて納品する。
⇒ 期間中は混雑の影響により、例年通りの商品供給が難しい可能性。前倒し実施で、商品ラインナップ等の充実した顧客満足度の高いセールに。
◼ 配送センターのマネジメント
ex) 混雑エリアへの配送では、センター変更や複数センターからの配送等
⇒ 所管エリアの弾力的な運用等により、混雑エリアの配送も含めて効率的な配送をすることで、全体で配送車両台数や配送回数を削減。
◼ 備品やコピー用紙等の納品時期の変更
ex) 大会期間中には事務用品やコピー用紙を納品しなくてもよいように、大会前後にまとめて納品
◼ ごみの削減
ex) シュレッダーごみなどを期間中、会議室などにストックする。
ex)ペーパレス化やマイボトル・お弁当持参によって、ごみを削減する。
◼ 社用車の利用の抑制
ex) 大会期間中の社用車の利用を避ける。
上記のほか、これを契機に、そもそも働き方を見直し新たな休暇取得制度、フレックスワーク、テレワーク制度などの導入を検討している企業も少なくありません。
最後に
上記対策をとるにしても具体的な実行に移すためにシステムを導入したり専門家へのアドバイスを依頼をしたり経費が追加でかかってくる可能性があります。
中小企業では、そのために新たに予算を確保することは難しいと思います。
一方で、何も対策を取らずに大会期間を迎えると思わぬところで人や物の流れが滞るリスクがあり、何もしないということはあり得ません。
また、これをチャンスととらえ、新たに働きやすい体制を整えることで社員の満足度向上や採用のアピール材料とすることができるものと思います。
今からでも遅くはありませんので、本助成金を積極的に活用し、対策を進められることをお勧めいたします。